給料(給与所得)と外注(事業所得)の違いについて
給与(給与所得)と外注(事業所得)ではどのような違いがあるでしょう。また、会社側にはどちらのほうがメリットがあるのでしょうか?
■働く側の手続き
・所得税
給与所得の場合は会社で年末調整を行うため、他に収入がなければ自身で確定申告を行う必要はありません。
外注の場合は自身で確定申告を行う義務が生じます。
・住民税
こちらも上記同様に外注(事業所得)の場合は自身で支払う必要があります。
・事業税
給与所得の場合にはかかりませんが、事業所得の場合にかかる税金です。(事業税が発生しない業種もあります)
・消費税
上記同様、給与所得にはかかりませんが、事業所得の場合にはかかる税金です。2年前の課税売上が一千万円を超えると、働く人自身が課税事業者となって消費税の納税を行う義務が発生します。
・社会保険
給与所得の場合は会社で社会保険に加入し、給与から天引きされる形で支払います。事業所得の場合は自身で国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。給与所得の際に加入する厚生年金とは異なり、国民年金は将来の年金受給額が厚生年金より少なります。失業時の給付がないので注意が必要です。また、業務中の事故等にも自身で予め備える必要があります。
■会社側の手続き
・消費税
会社が消費税の課税事業者であり、原則課税で申告を行っている場合に給与として支払う際は、課税仕入れに該当しません。
外注費として支払う際は課税仕入れに該当するため消費税額から控除します。つまり、外注費として支払うほうが会社の支払う消費税納税額が減少します。
・社会保険
給与の場合は社会保険料や労働保険料を会社が負担する必要がありますが、外注費の場合は該当しません。
・源泉所得税
給与の場合、給与から源泉所得税を控除して納税を行う必要がありますが、外注費の場合は原則として源泉徴収する必要がありません。
源泉所得税の対象となるのはデザイン料や原稿料、講演料、仕業や芸能人・外交員への報酬等です。
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上記、働く側・会社側それぞれの手続きの違いを記載しましたが、会社にとってのメリットが大きいのは外注費といえます。しかしながら会社にとってメリットがあるとはいえ、何でもかんでも外注扱いにとできるものではありません。会社と外注者とで双方合意がなされていることや、契約書を取り交わして条件を細部まで決めておくことが大切です。業務の内容にもよりますが、外注は働いた時間ではなく、成果に対して報酬を支払う形が一般的です。給与と外注でしっかりとした区別を会社側も働く側も、双方で持つ必要があります。
その他にも請求書を外注者自身で作成し発行してもらうことや、有給休暇やレクリエーション等の待遇を行わないこと、通勤手当等の各種手当等を支給しないことなど、予め事前の取り決めや準備をしっかり行っておく必要があるでしょう。